僕らはドーナツの穴のようなもの

食べ終わった後、どこに行ってしまうのだろう

僕らはドーナツの穴のようなものだ。確かにそれはある。しかし、穴の外側の部分がそれを形作っているに過ぎない。食べ終わった後、ドーナツの穴はどこに行ってしまうのだろう。

人が生涯で得たもののうち、形あるものは全てその人のもとを立ち去ってゆく。

最後の瞬間まで残っているのは、形も重さもないものだけ。

ドーナツの穴のような自分と、穴を縁取っていた物ごとに関する記憶だけが残される。

そして、最後にはその記憶も失われ、自分と世界を分けていた境界は完全に消え去り、もう一度母なる宇宙に溶けてゆく。

必要以上に恐れることはないし、無理をして手繰り寄せる必要もない。

恐れず、慌てず、惜しまず、粗末にせず、元は一つであった自分と宇宙の双方を信じて歩んでゆくだけのこと。