「循環型変化」と「構造型変化」を見極める力を持とう

一喜一憂することもなく、一時凌ぎをすることもなく

人は循環型変化を構造型変化と捉えて、一喜一憂しがちである。

逆に構造型変化は循環型変化と見なして、一時凌ぎをしがちである。

変化には二種類ある。「循環型変化」と「構造型変化」である。

循環型変化はサイクル型

循環型変化とは、サインカーブのようなサイクル型の変化のことである。

例えば、四季が巡ってゆくことがこれに当たる。真夏の暑さはいつまでも続かず、秋になれば気温が下がり始め、そして寒い冬を迎えることになる。しかし、それもまた永遠ではなく、やがて春が訪れ、また暑い夏がやって来る。

あるいは、景気が良くなってもそれが永遠に続くわけではなく、いずれ景気は天井を打って後退局面に入り、そして底を打てばまた反転して景気は回復し始める。

構造型変化は一方通行型

それに対して、構造型変化とは、簡単には後戻りすることのない一方通行型の変化である。なだらかな坂道を登るようにゆっくりと変化してゆくこともあれば、階段状にがくんと急激に変化することもある。

隕石が衝突して大量のチリが大気中に舞い上がることによって起こる地球規模の冷却化は、四季がもたらす通常の冬とは違い、長期間にわたって比較にならない寒さが続くことになるだろう。それ以前と以後では、地球の環境は大きく様変わりすることになるので、生態系もまた大きな影響を受けることになる。

革命によってもたらされる政治体制の変化や、技術革新による社会の変化なども構造型である。明治維新の後に、江戸時代の幕藩体制に戻ることはないし、自動車が普及した後に、馬車の時代が蘇ることもない。携帯電話やインターネットを使い慣れたわれわれはそれ無しの生活に戻ることなど最早考えられない。

循環型変化に一喜一憂してしまう

循環型変化に直面している時に、われわれは、それを構造型変化と捉えて大騒ぎすることがままある。例えば、景気が悪くなり始めると、そのまま底なしの大恐慌に陥るのではないかと警鐘を鳴らす論者とそれに過剰反応する人々が出てくる。逆に、バブル経済真っ盛りの日本では、わが国がこのまま世界経済の主役に取って代わるのだという錯覚に皆が酔いしれた。

構造型変化に一時凌ぎで対応してしまう

また、逆に構造型変化に直面しているのに、それを循環型変化と捉えて一時凌ぎをしてしまうこともある。大病の予兆が出ているのに、ちょっと体調が悪いだけで、しばらくすれば自然と回復するだろうと楽観的にやり過ごす人は少なくないだろう。味や接客に問題が出始めて客が離れ出したレストランが、一時的なものでいずれまた客足が戻ってくるだろうと高を括ってしまうこともあるのではないだろうか。

冬の寒さなのか、それとも氷河期の寒さなのか

厳しい変化に直面している時には、それが冬の寒さなのか、それとも氷河期の寒さなのかを見極めなければならない。冬の寒さであれば、しばらく我慢していればいずれ春が訪れる。しかし、氷河期の寒さであれば、今後長く続くものであるから抜本的に対応してゆかなければならない。


循環型変化に一喜一憂するのは滑稽だが、構造型変化に一時凌ぎで対応していては命取りになりかねない。両者を見極める力を持ちたい。